「文我さんネタについてのつぶやき」

《落語百席プログラムより》

その2

『鷺とり』

「鷺」という鳥は、とても美しい鳥です。私は鷺がたくさんいる風景よりも、たった一羽、小川の中州に佇み、首を微かに傾げている姿が、この鳥の一番似合う姿だと信じています。私が今住んでいます三重県松阪市の山間部では、幸せなことにその様な光景に出会う機会が結構有り、本当に幸せです。またこのように愛らしい鳥なればこそ、この落語のような面白い話の題材に採用されされたのだと思います。大阪市内でも鷺があちらこちらで見られた時代は、今から考えれば良い時代だったのかも知れません。しかし、その時代を想像しながら快適に話を進め、それをお聞きくださる方の居られる時代の方が、やはり良い時代なのでしょうか。

『親子茶屋』

親子の断絶が叫ばれ、それとは反対に子どもに対する親の教育姿勢がより厳しくなった要因は、一体何なのでしょうか。どの時代も親不孝は有り、子離れしない親達もたくさんあったわけで    。しかし、この落語では親子の断絶が、実は絆であり、道楽が教育に繋がっていたりと、不思議な思いにかられるネタと言えましょうか。私はこのネタを初めて知ったのは、桂米朝師の速記本だったのですが、本で読む落語と、実演の落語がこれほどちがうものかと驚いたのが、実はこのネタなのです。上方落語特有のハメモノ(お囃子入り)をふんだんに使った、ハンナリとした落語で、私の大好きな落語です。

『胴乱の幸助』

世間知らずのオジさん大活躍の巻ともいえる、このネタ。私もこの主人公を笑うわけにはいきません。何せ、これだけ野球の人気があるのに、野球のことは全くと言って良いほど知らないのですから、    。私は「野茂」という野球選手の名前を、ズーと「のしげ」だと思い込んでいたくらいですから。どうぞ、お笑いください。そして、このネタの主人公のオジさんとイメージを重ね合わせてお楽しみくだされば幸いです。


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