「文我さんネタについてのつぶやき」

《落語百席プログラムより》

=その5=

『池田の猪買い』

古くからあるネタです。落語家誕生の頃の小咄に、この落語の原点を見ることができるくらいですから、上方落語には旅ネタと呼ばれるジャンルがあり、伊勢参りのネタは「東の旅」、金毘羅参りは「西の旅」等になるのですが、この「池田の猪買い」は「北の旅」になっています。池田とは今の大阪府池田市のことで、現在では阪急電車で二十分たらずで行けるところですが、その昔は池田まで歩いていくこと自体が「旅」であったようです。これは余談になりますが、このネタの題名てある「池田の猪買い」をそのまま使った「あられ」があることをご存じですか?池田市に行けば、今でもお土産で売っていることと思います。因みに池田市内で猪わ見かけることは、今現在では皆無でしょう。

『三井の大黒』

私の出身地は、三重県松阪市です。松坂といえば、すぐにかえってくるのは、「あァ、あの肉の美味しいところですね」ということです。確かに間違いではありませんが、松阪市民にとっては、それだけではありませんと言いたいところなのです。松坂城跡、本居宣長奥墓、松坂木綿etc.・・・しかし、何と言っても、あの天下の「三井家」の発祥の地であることを忘れてもらっては困ります。さて、今日は松坂生れの文我が、多少縁のある「三井家」のエピソードを、名工・左甚五郎をからめてお話いたします。

『質屋芝居』

十二月になると、落語・浪曲・講談・歌舞伎・文楽等、様々なジャンルで「赤穂浪士」の物語を演じます。日本人は、耐え忍んだ暁に一発逆転することが大好きらしく、古くは力道山、最近ではサッカーのワールドカップ等、「赤穂浪士」的なことには、国民全員が沸きに沸く様です。文我もご多分に洩れず今宵のトリ、本年の「落語百席」の締め括りは「赤穂浪士」関係のネタにて、お開きとさせていただきます。さぁ、討ち入り済まして、本懐をとげられますでしょうか。

落語百席vol13プログラムより


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