「文我さん、ネタについてのつぶやき」

    《落語百席プログラムより》

=その8=


『いかけ屋』

私は、三代目春団治師匠から、五つのネタを頂きました。「祝い熨斗」「代書」「高尾」「お玉牛」「いかけ屋」です。その中でも、この「いかけ屋」は、春団治三代の十八番ネタでもあり、春団治師がとても大事にしておられるネタなのです。「代書」を習いました後で、この「いかけ屋」のお稽古をお願いしましたところ、「うちの一門にも誰にも稽古してないので、堪忍してもらいたい。もし一門の誰かに稽古したということを聞いたら、言ってきなさい。お稽古しますから。」とのことでした。後年春秋さか(現四代目梅団治)がこのネタをお稽古してもらいだしたと聞き、早速お願いしましたところ、快くお稽古してくださいました。それも一分きざみの口移しで、大変有り難いお稽古でした。その後も春団治師にお目に掛かる度に「いかけ屋」は演ってくれてる?と聞いてくださいます。そのうえ「あなた流に、どの様に変えてくれてもいいんだよ」の言葉もそえて・・・。これからも少しずつ、自分のスタイルの「いかけ屋」を作っていきたいと思っています。

『高宮川天狗酒盛』

速記本からの復活編です。「東の旅」シリーズの中にいれられているのですが、このネタの舞台は、伊勢参りの道から少し外れます。このネタを演り出したころは、伊勢参りのネタとしていましたが、最近では切り離して、単独のネタとしています。滅んでしまうには勿体ないくらいのアホらしさと、面白さがあると思います。東京の落語会で演りましたとき、予想以上の好評を頂き、本当に驚きました。このような奇想天外さは、意外と関東人がお好きなのかもしれません。

『高津の富』

宝くじの一等が二回当たったという人を知っています。一回目に当たったときは、有頂天になり、ギャンブルや酒に溺れて、当たったお金を全て使い果たした上に、莫大な借金まで背負ってしまったのです。借金とりに追い立てられ、もう死ななければどうにもならないというときに、何故か宝くじを買ったところ、この中の一枚が一等だったのです。これは事実の話です。人間どこでどの様なことになるのか、さっぱりわかりません。一寸先は闇か、極楽か。このネタはその象徴のような噺です。

落語百席Vol.16プログラムより

 

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